「らんまん」22話
全てにおいてすごい回だった。
たったの15分で、一本の映画を見たかのような感覚。
ここまでずっとリアルタイムで見てきました。登場人物たちが抱えているものなどいろいろとありつつも、なんだかんだで今まで平和に進んでいたこの作品。しかも朝ドラで、まさかこんなに壮絶なシーンが待っていたなんて。
涙がこみ上げてきたタイミングで、一緒に見ていた母が激しめにおいおい泣き出したので逆に冷静に見ることができました。母、ありがとう。朝から二人でぐったりしながら仕事に向かったよね。一日中、余韻と呼ぶには重たすぎるものを引きずり続けた気がします。(なんなら今日もまだ引きずってる)
壮絶な拷問シーン。たとえ役だとしても、推しが痛めつけられるのを見るのは心が痛い。目を覆いたくなる。けれどそんなことを超えて、彼の、早川逸馬という男の生き様を見せつけられて、目を離すことなどできませんでした。
「仲間じゃないき。そんなやつ」
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) May 1, 2023
最後に視線を合わせた二人。
逸馬は、万太郎をかばってくれました。#朝ドラらんまん#神木隆之介 #宮野真守 pic.twitter.com/T22w7bX12P
魂が震えました。
間違いなく心で通じ合っていた二人。
万太郎の“自由”を命がけで守った逸馬の信念がとてつもなくて、息をするのも忘れて見入ってしまいました。
ここのシーンは、視聴者に言葉通りに受け取られてしまったら台無しになってしまうシーンなんですよね。
「ひどいことを言う逸馬」「一人だけ釈放されることを選ぶ万太郎」
起こった出来事としてはそうなんだけど、そうじゃない。声、表情、仕草……その全てから、伝わる。彼らの心の全てが、画面から溢れて襲いかかってくるようでした。
それらしいストーリーをでっち上げ、ありもしない自白をさせようとする警察。目の前でひどい仕打ちを受ける逸馬を目の当たりにし、助けたい一心で咄嗟に嘘の自白をしてしまいそうになる万太郎。それを遮り、大芝居を打って「仲間ではない」と証明しようとする逸馬。
同志の“自由”を守るために、命をかけて嘘の罵倒を繰り返す。それはただの優しさだけではない、民権運動家としての意地でもあり、少しのエゴでもあったのかもしれない。それでもただ熱いだけではなく、咄嗟に警察のでっち上げを利用する形でやり返す逸馬は、冷静で、頭の切れる人なんだろう。
その言葉を受けた万太郎もまた、それが本心ではないことと彼がやろうとしていることを理解して、汲み取って、受け取って、自分がするべきことを見つける。あの場面では絶対に、警察に食ってかかったり逸馬に駆け寄ったり泣いたりしてはいけない。苦しくて悔しくて葛藤もあって、あの場面で「はい」と答えることはきっと、仲間であると認めること以上に覚悟のいることだったと思う。
皆の前で堂々と、生き生きと弁舌を振るう姿。本気でこの国を変えたいと、皆を引っ張り突き進もうとする強い瞳。素性は分からずとも恵まれた立場である万太郎を憎むことなく、その傲慢さを気に入り「馬鹿じゃのう」と笑った逸馬の姿が蘇ってきて、涙が溢れました。
かみ合っているようでかみ合っていない、かみ合っていないようでかみ合っている二人。今までは笑って見ていた二人の演説シーンは、もう二度と笑えなくなってしまった。
出会いからたった一日二日の関係だったとしても、根っこの部分で心から共鳴しあった万太郎と逸馬。間違いなくそこに生きていました。
神木くん。すごい役者だなあ。逸馬の所に連れて行かれてあの場を去るまで、ほとんどセリフのないシーンであるにもかかわらず表情だけでその全てを表している。全てが伝わる。
宮野さん。「熱演」と言うと安っぽく聞こえるくらい、命を削り役を生きる宮野真守という役者の姿そのものに、逸馬の生き様を見ました。
一緒に見ていた母とも話していたのですが、私はらんまんという作品を、この22話のことを、早川逸馬という人物のことを、一生忘れないのだと思います。
万太郎・綾・竹雄の3人が決意を新たにし、万太郎が演説会に飛び入り参加して大盛りあがり、そのまま爽やかに佐川に帰る……という流れでも物語としては普通に成り立つけれど、そうはしなかった。そこに大きな意味があって、逸馬がその大事な部分を担ってるんですよね。確かに物語としては成り立つけど、“槙野万太郎の人生”を描くためには絶対に必要な展開だった。そう思います。
それと、ここにきて島崎和歌子さん演じる喜江の存在が効いてくるというか。この人が外から支えてくれるのならきっと大丈夫!と思えるような、ただただ悲しいだけじゃない救いがあることが良かったなあ。もちろんそこには、同じ人間として扱われない女性の悲しさも内包しているのですが、だったらそれを利用してできることをする!という喜江のたくましさが描かれていて、私にとってはそれがものすごく救いでした。
思えばこの回、竹雄の命がけの全力疾走から始まり、おばあちゃんの警察への啖呵、帰り道の会話まで全てがすごかった。これ本当に15分でしたか?
おばあちゃん、強くてかっこよくて肝が据わってて賢くて愛が深くて……良いおばあちゃんすぎて泣けてしまう。
万太郎の視線の先に、逸馬の着物のように鮮やかなだいだい色の植物が。
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) May 2, 2023
「おまん…なんて名じゃ?」
「#キツネノカミソリ 」
その植物の名を知っていたタキ。
「わし、おばあちゃんともっともっと話しよったらよかった。」#朝ドラらんまん#神木隆之介 #松坂慶子 #志尊淳#佐久間由衣 #小松利昌 pic.twitter.com/k1owXolHSG
まさか、今週のタイトルである「キツネノカミソリ」が、逸馬さんに由来していたなんて。
キツネノカミソリって、どんな植物? 「らんまん」登場、逸馬の着物と同色 | 高知新聞
私はこれからこの鮮やかな橙色を、この花を目にするたびに彼のことを思い出すんだろうなあ。鮮やかな着物、よくお似合いでした。
しかしヒガンバナ科とは……そういう匂わせではないことを祈ります。
逸馬さん、どうか生きて、またどこかでお会いできますように。
わしらは、自由じゃ | 宮野真守オフィシャルブログ Powered by Ameba
宮野真守が振り返る、あの名場面!「シンパシーを感じていたからこそ、万太郎を助けた」 | ステラnet
いや〜〜〜らんまん、めちゃくちゃ面白いな!出会えて本当に良かった。朝もちゃんと起きられるようになったし(重要)。
そして私は、22話が見返したいのにその勇気が出ない!もっと細かいところまでじっくり見たいんだよ〜〜オラに力を!
ここからは宮野真守さんのオタクによる宮野真守さん語りです!
演説会のシーンだけでも、この役を宮野さんに…とオファーがかかったことに納得しかありませんでした。壇上に上がった時の迫力、人を引き付ける華とオーラ、言葉の説得力、よく通る声(そして顔の圧)。これはもう宮野さんだわ……そう思っていたのですが、このオファーはそういう表面的な部分だけではなく、もっともっと深いところにあったのだろうな……そう思わされるような役でした。
彼の奥底に眠る、燃えたぎる炎を見つけてくださったのかな。何か出演舞台を見てくださったのだろうか。キャスティングに関わった方の話が聞きたい!宮野さんを見つけてくださってありがとうございます。
このキャラクターは今までどのように育ってどう生きてきたのか……そんなことを深くまで掘り下げて考えたくなるような、そんな厚みのあるお芝居が宮野真守という役者の大きな魅力だと思っています。
華やかさと泥臭さをここまで共存させられる役者は稀有だと思うんです。シリアスもコミカルもいけます!どんな役でもその“役を生きる”ことに関してはズバ抜けたものを持っていて、命を燃やし、血反吐を吐きながらも声を発し、ステージに立ち続ける人です。
「俳優・宮野真守」はもっと評価されていい……と言うと何の立場だ?って感じですけど、常々、本気でそう思っていました。宮野さんが生身で命を燃やすように役を生きる姿を、もっとたくさんの人に見て欲しい。お金を払って舞台を観に来た人などのごく限られた界隈だけでなく、もっとたくさんの。それが朝ドラという形で、こんなに強烈な印象を残す役として全国の視聴者の目に留まったことに、一ファンとして喜びを感じております。
宮野さん、良い役もらえてよかったね。
というのは少し違っていて。宮野さんの、今までの全てが掴んだ早川逸馬という役だったのだと思います。
いや〜〜〜しかし……大河でメイン張る宮野さん、見たいよねえ??今回の逸馬さんを見て、よりその思いが強くなってしまった。宮野さんは見た目的にもお芝居的にも、時代劇がめちゃくちゃ映えるタイプの役者だと思うんですよね。今回の逸馬役で、宮野さんが「話題性のために人気声優でも使っとくか〜」レベルの人ではないということが関係各所にも伝わったと思うので、キャスト順で3番目に名前が並ぶくらいのでっかい役で大河に出演する宮野さん、どうですか??(スケジュール的に厳しいってことはわかってます)
というわけで(?)「俳優・宮野真守」の事を、みなさん今後ともよろしくお願いいたします!
雑な締めになってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。