MMのひとりごと

とある地方住みオタクの雑記

「何のために生きてる?」宿命に抗うその手が語る/いのうえ歌舞伎『神州無頼街』5/21昼

神州無頼街もいよいよ終盤になってきましたね~~

一生やっててくれ…… という気持ちもありますが、とにかく無事に千穐楽を迎えてカンパニーの皆さんがホッとできる日が早く来てほしい……とも思う複雑なオタク心です。

 

今回は大阪静岡東京すべて含めて初の2階席。上手側の最前列でした。遮るものが何もなく視界良好…!これは落ち着いて観るにはめちゃくちゃいい位置かもですね。

 

なんだろう、今回すごく千穐楽に向けての完成形が見えたというか、芝居も演出も「こういうものが見せたいんだ!」っていうところまで到達した感があるというか。そしてシンプルに面白い舞台だな〜〜って原点を感じました。千之介と百千代が2人を逃がすところとか、物語が大きく動き出す予感に改めてわくわくしたもんなあ。神州無頼街、おもしろ~~~

 

 

卯之吉の自己紹介アドリブ枠、「町内会費の支払いは昨日20日が締め切りでしたが、まだ払っていない人がいます」とか言ってたんだがもはや自己紹介とは?卯之吉、どんどん影が濃くなっている。

 

賭場の最後、犬吠の次男が乗り込んで来たところで草臥さんが10度見くらいしてたのおもしろすぎたんですが……いや出来たとしてもせいぜい3度見くらいじゃないですか??どうやったらあんな動き出来るんだ??我が推し、コミカル動作のバリエーションが多すぎる…!

 

あのさあ……手術シーンさあ……

手術が終わって永流が起き上がろうとするところで草臥さんが背中を支えるじゃないですか。上手側だからよく見えたんですけど、めっちゃ頬を優しく撫でとる……いや今までもずっと気づいてはいたんですけど気が狂ってしまうのでなるべく考えないようにしてたのにもうガッツリ見えてしまって無理でした……

いやおかしいだろ!!冷静に考えてさあ、体を支えるのも頭を支えるのもわかる。相棒が怪我してたら心配だもんね。でも顔と顔が10センチのあの距離で頬を撫でるのはもう心配とか通り越して愛おしい人に対してのそれなんよ。というかチューする時のそれなんよ。勘弁してくれ〜〜〜〜〜!宮野さん、福士くんが美しすぎて舞台上で見惚れるみたいなことを前に言ってましたけど、このシーンとかまさにその瞬間じゃん……

永流がそのまま三日三晩目を覚まさないところとかもうそんなの王子様のキスしかねえだろ~~~~~って思っちゃったもんな。大阪千穐楽カテコで福士くんと宮野さんがチューしただのでザワザワしてたのがもはや懐かしい。今思えばこの2人、別に勢いでチューの1回や2回してても特別驚かないというかむしろしてないんか!?くらいの感じまであるからオタクもいろいろバグっている……

 

凶介「好き勝手ピーピーピーヒャラ生きてきたのはてめえの方が先じゃねえか!」

このパターン始めて聞いたな!?というかここいつも何言ってるかわからなかったんですけど(なんかスースーみたいな感じ)、もしかして「スイスイスーダラ」だったりします??いやわからんピーヒャラと同じ系統かなって……ピーヒャラからスーダラを導き出す自分にも笑ってしまうが……

あと揚羽ちゃんに「里心が~~つきはったんどすか~~?だから2人に肩入れしはったんどすか~~?」言っててこのエセ京都弁(?)言われた方はめちゃくちゃイラッときそうだな!

 

麗波「このヒロシがそれを辿ったんだよ」

今回の追跡蠍はヒロシ!

 

草臥さんが「この子達は幕府御庭番だ!生かしておけば……幕府の内情が知れるぞ!」とか言ってる時さ、凶介がおいお前それ言うのか??みたいな顔で見てるのに気づいてしまったんですが……凶介やっぱり気にしてんじゃん……しんど……記憶が戻ってからの凶介はすごく人間らしい弱さが見えて胸がギュッッッってなってしまうなあ。

というか草臥さん、仲間を守るために言っちゃいけない秘密まで言ってしまう辺り全く忍が向いてない……声も体もでかいしな……

 

麗波と蛇蝎の過去シーンで、御影童子の被り物が落ちた時に露わになる髪の毛が蛇蝎と同じ髪質で……そりゃそうなんですけどなんかハッとしたんですよね。それで狼蘭の男を見たらサラサラストレートで……ウッッッッ遺伝子ッッッッあと戦闘態勢に入る時の2本指ポーズもしてたんですね……

 

そういえば草臥さんが次郎長親分に決死の説得をする棺桶ソングのラスト、「蛇蝎と同じ狂った道か?目え覚ませ、清水の次郎長!」のセリフのところがめちゃくちゃ声が反響してて。たぶん音響が歌のままになってたのかな?でも次郎長親分の心にはあの言葉があれだけ響いて聞こえたという演出のようにも見えて、あれはあれで印象的なシーンになってて悪くなかったんですよね。口出し屋の本領発揮!って感じで。

 

麗波を刺した永流のシーン、あんなにも感情の動きが複雑で情報量の多いシーンだったなんて思ってませんでした。刺した直後、殺し屋としての本能から溢れ出る恍惚の笑みを浮かべる永流。自分の中に眠っていたその感覚に気づいて次第に表情が歪んでいき、絶望感に苛まれ座り込んでしまう……と同時に麗波が刺されたことで取り乱す蛇蝎が永流に斬りかかろうとし、それに気づいてほとんど反射で戦闘態勢に入ろうとして いやダメだ…!とその手を押さえて反撃を諦める永流 っていう一連があの数秒の間に行なわれてるのが本当にすごい……

そしてこの一連、草臥さんはずっと永流のことを見てるんですよ。でも動けなくて、声もかけられなくて。永流が諦めて動きを止めたところでようやくまずい…!って永流の方に動こうとするんですよね。そして蛇蝎を撃つ麗波。殺し合う2人。思わず駆け寄る永流。本当にここの情報量よ……それぞれの美学と本能と感情と葛藤と……全てが静かに大きく渦巻くものすごいシーンだ……

あの動きを止めた時の永流って、もう殺されてもいいやって気持ちになってたんだろうか。完全に諦めたような顔に見えたんだよな……。あのとき麗波が蛇蝎を撃たなかったら永流はきっと死んでたわけで。でも麗波は別に永流を助けようとしたわけじゃないところがめちゃくちゃ好きなんですよね。麗波も蛇蝎も最後の最後まで狂ってて、他の誰もそこには入り込めない愛と地獄の箱庭があって、それが美しくて。その美学を最後まで貫いてくれたのが本当によかったし物語において救いでもあったなあと思います。

 

永流は正義の心のもと非道を繰り返す父親を殺すためにここまで来て、その目的は果たしたはずなのに、実際その時湧いてきた感覚は正義とは程遠い殺し屋としての感覚で。ずっと気になってたのは、永流は父親を殺した(トドメはさしてないにしても)という事実にではなくて、あくまでその時に自分自身に湧いてきた感覚に絶望してるんですよね。本人は無自覚な気がするけども、父親を殺したこと自体への迷いも後悔もなさそうなところがまたしんどい……

 

草臥さんもさ、永流の話を聞きながらきっとその手を握りたいと思ってたはずなのに、手を伸ばしかけて躊躇って。結局、中途半端に浮いたままの手は永流を止めることも励ますことも出来なかったんですよね。麗波を刺した時のあの永流を見てしまったから。今まで人の事情に無責任に口を出し首を突っ込んできたけど、もう絶対にそれはしたくなかったんだろうなってのが伝わってきて胸がギューーーーってなってしまう。最後、ようやくその手を握って言えた「どんな手でも人の手だよ」という言葉も、医者鞄を渡して受け取るのを待ってからの「お前は医者だ」という言葉も、決して励ますための口先だけの言葉じゃなくって。助けを求める命の声を聞き逃さなかった永流の姿を見て、自信を持って伝えられた言葉だったんだろうなあ。

言葉に責任を持ったこれから先の『口出し屋の草臥』は、きっと今までとは大きく違ってくるのではないかと思います。自分に流れる血の本能を知ってしまった『町医者の秋津永流』もまたそうで。彼らの新たなスタートは、苦くて苦しくて、でもとっても眩しいよ!一緒に幸せになりな!

 

なんかここに来てようやく永流という人間の解像度が上がったというか、彼の持つ矛盾と葛藤が私の中で腑に落ちたというか。いや~~~よかったなあ。

 

最後のお梅さん一家とのシーンで、おももの顔に煤がついて真っ黒になってるのに気づいて思わず笑ってしまった……おもも……たくましく育ちそうだな……続編では永流&草臥の子との絡みありますよね??女の子同士でもカワイイし男女でもまたカワイイな~~~

女の子の扱いがわからなくてアワアワするパパ2人とかもめちゃくちゃ見たいけども、永流の親子関係との対比を描くならやっぱり父親と息子の方が作りやすそうではありますよね。え??続編なんて決まってないって??特技は幻覚を見ることです!

 

ラストさ~~永流が体を上下に揺らして子供をあやしてたんですけど、草臥さんも一緒にぴょんぴょん揺れてたの激カワだった……もう100億回は言ってるけどマジのマジで幸せになってくれ……

もうちょっと子供が大きくなったらさ、真ん中に子供挟んで3人で手を繋ぐやつやるじゃん??それで2人が手を持ち上げてピョーーンってやつやるじゃん??アハハッもういっかい~~~せーのっっピョーーン!アハハッ キャッキャッ

 

ハ~~~~~~~……

特技は幻覚を見ることです

 

 

帰り道、宮野さんのことを褒めてくれてるお兄さんの声が聞こえてきたので なになに??と聞き耳を立てお兄さんと歩幅を合わせてしまった気持ち悪いオタクは私です。

隣の映画館では出演作が多数上映されておりすぐ側にあるアニメイトにはCDや出演作関連のものが多数取り揃えられております声優・俳優・歌手 宮野真守さんのことをどうぞ今後ともよろしくお願い致します。

 

 

初日からずっとずっと楽しくて、日々あらゆる変化を加え進化を遂げながらここまで成熟していく過程を見届けられたこと、既に感慨深くなってしまった……まだ終わってないよ!

リリアホールを見守ってくれているフクロウ。最後までよろしくお願いしますね!

 

ではでは、ここまで読んでくださってありがとうございました!