MMのひとりごと

とある地方住みオタクの雑記

運命に翻弄された“男”と“女”の物語/Netflixアニメ『大奥』

Netflixアニメ『大奥』

宮野さんの出演が発表されてからずっとずっと楽しみにしていました。しかもまさか、実写で福士くんが演じた万里小路有功役とは……ものすごい縁ですよね。


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この大奥という作品。これまでに幾度となく実写化されてきているので存在は知っていましたが、ちゃんと見たことはありませんでした。(なんとなくのイメージでドロッドロした女の戦いみたいな物語なのかと思っており……) なので私は今回このアニメ化でほぼ初見。いや〜〜〜……すごい作品だ……

配信開始してからすぐ、わずか1日で全話見終わってしまいました。ネトフリのシステムに慣れておらず、勝手に次のエピソードが流れるのでそのまま夢中で見続けてたらいつの間にか終わっていた……

普段ここでアニメの感想を書くことはほぼ無いのですが、一気に見てしまったことによりこの気持ちがどうにも抑えられなくなり……なのでしばしこのオタクの語りにお付き合いいただけましたら幸いです。

 

 

そう、今の感情を一言で言うならば、
しんどい!

私がハッピーエンド大好きオタクなのは間違いないけれど、それと同時にしんどければしんどいほどぶっ刺さる率も高くて……つまりは、しんどい!ブラボー!

 

史実か虚構か。その境界線が曖昧になるほどその世界観には説得力があり、そこに生きる人々の感情、行動、愛と欲と憎しみと執念……すべてが生々しくて。

 

始まりは1話80分で描かれた吉宗の時代。これはあくまでプロローグであり、これから家光の時代をしっかり描いていく上でもここを3話に分割しなかったのは大正解すぎる。彼女が抱いた疑問から始まり、全てを知る人物と出会い、過去に遡る……その構成にも唸ってしまったな。

吉宗はサバサバしてて素敵すぎるし、水野がまた良い男すぎる。シンプルにキャラとしてはこの二人が一番好きかも。

 

あとキャスティングもいろいろ面白いですよね。事前に公開されていたのはメインどころだけだったので、この人も出とったんか?となったりこの役をこの方が!という驚きもあったりして、そういう視点でも面白かったです。

登場人物の名前が全く覚えられなかったので、エンディングで飛田展男さんのお名前を見た時に えっそんな大御所の方がやるような役って出てきたっけ??どの人だ?? と思いながら見ていたのですが、最後まで見てアッあの1話のおじいさん!と全てが繋がってめちゃくちゃ気持ちよかったです。90代のお爺さんからその若い頃まで、何一つ違和感なく聞けてしまうのすごすぎる……

 

梶くんの玉栄も良かったなあ。宮野さんが「梶くんにはキャンキャン言ってて欲しい」みたいに言ってたの、めちゃくちゃわかるんですよね。個人的に、梶くんは主人公よりもその脇でツッコんだり怒ったりしてる苦労人な犬っころみたいな役が一番合うと思ってて。

お猫様にひどいことをしたのは許せないけど、あんな素直で可愛らしい少年なのに目的のためには非道なこともやってのけるところ、イイよね……。あと男たちに取り囲まれて犯されながらもヘタクソと罵ったり、殺してやる…!と復讐心を燃やすところも、気が強いというか根性あってよすぎる。

この子だけはいつまでも有功さまの味方でいてくれるんだろうなっていう安心感がものすごかったな。

 

あと女たらしでちょっとアホっぽい捨蔵のこと結構好きだったので普通にショックだったよね……全てにおいて可哀想すぎるだろ……

 

そして井上喜久子さんの春日局、凄まじい迫力であった……。喜久子さんがあんなお婆さん、それも目的のためには手段を選ばないような無慈悲なド迫力オババをやるなんてにわかには信じがたいですよね、あんなに可愛らしい17歳(おいおい)なのに……

でも春日局、やってることはむごくて無慈悲でとんでもないけども、その全ては徳川の世を存続させるためであり、それはつまり戦のない世を守るためで。そのことに誰よりも力を注いで人生をかけてきた人なんですよね。それを聞いて何も言えなくなる有功さまがもう……もう……ヴッッッッッ なんてしんどい……物語が上手すぎる……

 

宮野有功さま、本当に本当に良かったな……。凛としてるのにふわっとした柔らかさがあって、強くて儚くてその全てが美しい。もっとクールな感じかと思っていたら、あんなに柔らかく笑う人だったとは。そんなの好きになってまうやろ!


優しくて気配りができて聡明で、そんな彼が心のうちの欲望や黒くてぐちゃぐちゃした感情を知って、抑え込んで、それでも溢れ出して……切なくて苦しくて見てられないって思うのに、苦悩すればするほど色っぽくて惹き込まれてしまう……
(そもそも京言葉のcv宮野真守の時点で色気がすごいわけですが)

言葉を選ばずに言うと、有功さま、めちゃくちゃエッチだ……なんだろう、この、自分の中の“男”を知って、愛(性愛を含む)を知っていく元僧侶の男って、それだけでだいぶエッチなのに、最後の方とかもう人妻感というか未亡人感というか、すごくて……

せっかく真面目に語っていたのに私の中のオタクが抑えられなくて申し訳ない。

 

有功さまの感情が高ぶったときに出てしまう京言葉が本当にたまらなくて。その切り替えが本当に自然…というのはちょっと違って、切り替えとかじゃなく感情の流れのまま全て地続きというか。本当にすごかった……生きてた……

 

愛しい気持ちが抑えられなくて「好きや」3連発のとこ、良かったよね……あと愛しくて仕方がないし今すぐ抱いてしまいたいのにお褥を断る時の痛々しさとか、千代姫と話す時の優しい声色とか、挙げだすとキリがないというか、もはや全てが良くて……

この繊細なお芝居こそが声優・宮野真守の真骨頂なんです……

 

また有功さまといる時だけ“女”の顔になる家光が可愛くて。松井恵理子さんのことはとある一作品でしか存じ上げないのですが、少女から男子、女、母、女将軍…と立場や状況で様々に変化する家光の全てを、一人の人間としてしっかり見せてくれて素晴らしかったな。

 

この時代が、この場所が、この立場が、男女としての2人を引き裂いたけれど、

この時代だったからこそ、この場所だったからこそ、この立場で出会ったからこそ、2人は惹かれ合い身を寄せ合い、愛し合ったんですよね。

 

これは悲しい運命に翻弄された、“男”と“女”の物語。

 

そしてもう一つ。大奥での出来事だけではなく、同時進行で村の一家の暮らしを描くという構成にも唸ってしまいました。

働き者の村の娘もまた、愛する男との結婚を諦め、若くして命を落とした。決して派手ではないし世間を揺るがしはしないけれど、運命に翻弄されたのは、決して大奥の人間だけではない。この悲しい時代を象徴するような描写になっていたと思います。本当に構成が上手すぎる。すごい作品だ……

 

宮野さんインタビュー/https://m.crank-in.net/trend/interview/129840/1

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やっぱりネトフリ限定なのもったいないよ~~~~元々契約してる人か、私のようなどうしても見たい人以外の目には触れないわけじゃないですか。もっと気軽にたくさんの人に見て欲しい!

というか、限定にするメリットってなに??たくさんの人に見てもらえること以上のメリットとかある?……と思ってしまうのですが。お金か放送枠の問題?もしくは年齢制限(16+の表記があったので)の関係で放送が難しいとかあるんだろうか。

ネトフリ限定の作品が後々テレビでも放送されるパターンは何度も見ているので来年辺りに期待しつつ。
私個人としては、アニメなどを毎週ちょこちょこ見るのが苦手なので、配信されてすぐまとめて一気に見られたのはよかったかな。その分しんどさが一気に押し寄せてこんなブログを書くことになっているのですが。

 

は~~~……

出会えて良かった。宮野さん、毎度ながらこんな素晴らしい作品と出会わせてくれてありがとうございます。

 

 

そしてここまでお付き合いいただきありがとうございました!